八百津町の歴史宝蔵寺の昔話 房姫様物語03

遂に佛様の饅頭によねの手が伸びた。この方法ならば和尚も知らないだろう。
上重ねの一個を貰い、寺の階段に尻を据え、人差し指にて中味の”アン”を上手に穿って外側の白い皮を型がくずれぬ様に大きな饅頭を喰って背中の弟にも二、三回指で食べさせた。
そして何食わぬ顔で外側の白い部分を佛様お供えしておいて元の位置に戻して日も暮れかけたので家へ帰った。

生まれて初めてこんな旨い物を腹一杯喰ったはいいが、佛様の罰が当たらねばいいがと心配に成って来た。
明日は和尚様から大目玉が飛んで来るかも知れぬ。もう喰ってからではおそい。子供の腹に大きな饅頭のアンを腹一杯つめこんだので腹が張ってえらくて早々に布団に潜り込んだ。

日が暮れて夕食時に成っても起きて行かぬので心配した母が「よね、どうした」と聞くので「夕方から腹が痛い」と答えた。

真っ赤な嘘の仮病である。

2019/08/27 投稿
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